要注意外来アリアルゼンチンアリとヒアリ

日本には本来生息していなかったものの、海外から侵入し、生態系や人の生活に影響を与える「外来アリ」が存在します。特に注意が必要なのが「アルゼンチンアリ」と「ヒアリ」です。アルゼンチンアリは、特定外来生物に指定されており、南米原産のアリです。体長は約2.5ミリメートルと小型で、体色は褐色。日本の在来アリ(特にトビイロケアリなど)と見た目がよく似ており、野外での正確な同定は専門家でも難しい場合があります。見分け方のポイントとしては、動きが非常に素早いこと、刺激臭がないこと、在来アリよりもやや細身であることなどが挙げられますが、確実ではありません。アルゼンチンアリの最大の問題点は、その驚異的な繁殖力と攻撃性です。複数の女王を持つ巨大なコロニーを形成し、在来のアリを駆逐してしまうため、生態系への影響が懸念されています。また、家屋にも侵入し、食品に群がったり、不快感を与えたりします。もしアルゼンチンアリと思われるアリを大量に見かけた場合は、自分で駆除しようとせず、お住まいの自治体の環境担当部署や、環境省の地方環境事務所に連絡し、指示を仰ぐようにしてください。一方、ヒアリは南米原産の非常に攻撃的なアリで、強い毒性を持つことで知られています。体長は2.5ミリメートルから6ミリメートル程度と個体差があり、体色は赤褐色で、腹部(お尻の部分)がやや黒っぽいのが特徴です。腹柄節は二つあります。土で盛り上がった特徴的な蟻塚(アリ塚)を作ることが多いですが、必ずしも蟻塚があるとは限りません。ヒアリの最も危険な点は、腹部の先にある毒針で刺されると、火傷のような激しい痛みが生じることです。毒に対するアレルギー反応(アナフィラキシーショック)を引き起こし、命に関わる可能性もあります。見分け方のポイントは、赤みがかった体色と、黒っぽい腹部、そして攻撃性の高さです。もしヒアリかもしれないと思うアリを見つけた場合は、絶対に素手で触らず、刺激しないように注意してください。発見場所(地名、施設名など)、発見日時、できれば写真を撮影し、速やかに自治体や地方環境事務所に連絡してください。これらの外来アリは、早期発見と適切な対応が被害拡大を防ぐ鍵となります。