「キャッ!」夜中にキッチンで小さな黒い虫を発見。慌てて叩いて処理し、一安心…なんて思っていませんか?もしそれがゴキブリの幼虫だったとしたら、それは氷山の一角に過ぎないかもしれません。「ゴキブリ一匹見たら百匹いると思え」という言葉がありますが、これは成虫だけでなく、幼虫についても当てはまる、いや、むしろ幼虫の場合はより深刻なサインと捉えるべきなのです。なぜなら、ゴキブリの幼虫がいるということは、その家の中に「繁殖サイクルが確立されている」可能性が極めて高いからです。ゴキブリは卵鞘(らんしょう)と呼ばれるカプセルの中に多数の卵を産み付けます。クロゴキブリなら一つの卵鞘から約20匹、チャバネゴキブリに至っては約40匹もの幼虫が一度に孵化します。つまり、あなたが見つけた幼虫は、その卵鞘から生まれた兄弟姉妹のうちの一匹に過ぎない可能性が高いのです。さらに言えば、その幼虫を産んだ親ゴキブリ(成虫)も、まだ家の中のどこかに潜んでいると考えられます。そして、その親ゴキブリは、これからも卵を産み続けるかもしれません。幼虫は成虫になるまで数ヶ月から一年以上かかりますが、その間も脱皮を繰り返しながら成長し続けます。そして、無事に成虫になれば、今度はその個体が繁殖活動を開始します。このように、一匹の幼虫の発見は、目に見えない場所でゴキブリが着実に世代交代を繰り返し、数を増やしている証拠となり得るのです。特に、チャバネゴキブリのように繁殖サイクルが早く、屋内で一生を過ごす種類の幼虫を見つけた場合は、事態はより深刻です。放置すれば、あっという間にゴキブリが大量発生してしまう危険性があります。ですから、ゴキブリの幼虫を一匹見つけたら、「たかが小さい虫一匹」と軽視せず、「これは緊急事態宣言だ!」くらいの意識を持つことが重要です。すぐに徹底的な駆除対策と、再発を防ぐための予防策(清掃、侵入経路の封鎖など)を開始する必要があります。その一匹は、あなたへの最後の警告かもしれません。手遅れになる前に、行動を起こしましょう。